電気電子技術者のためのE検定、直面する課題の解決能力アップ!

〜ディジタル技術検定の終了による今後の業界標準の一つとしてE検定を利活用〜

進化し続けるAIIoTやロボット技術の活用など、産業界は今、変化の激しい状況です。そのため、専門知識を証明する資格は、技術者にとって重要なキャリアパスと言えます。

電気・電子分野の技術者のスキルを可視化する検定や資格の中でディジタル技術検定もその一つでしたが、検定終了に伴い、多くの企業や教育機関に影響を与えています。この記事では、ディジタル技術検定の終了による今後の業界標準の一つとして、E検定を中心にお伝えします。

INDEX(目次)

  • ディジタル技術検定とE検定の違い
  • ディジタル技術検定終了の影響
  • 新たな検定への移行
  • E検定はここが違う!ディジタル検定との比較ガイド
  • まとめ

ディジタル技術検定とE検定の違い

E検定とは

一方、E検定は電磁気や電気・電子回路だけでなく、工業製品の開発における信頼性や熱設計・機構材料知識・FPGA2)の設計技術など、より実務に即した内容を深く掘り下げています。E検定は、実際の製造業界で直面する問題に対する解決能力を重視し、より専門的な知識と技術を評価する検定となっています。

産業界主導で開発されたE検定はディジタル技術検定よりも実務寄りの内容なので、製造業で働く技術者にとっては、即戦力となる知識と技術を証明することが可能です。

2 FPGAField Programmable Gate Array)は、現場でデジタル回路(ロジック回路)の書き換えを行うことができる集積回路で、通信機器やデータセンター、産業機器から家電にまで搭載されています。

 

ディジタル技術検定終了の影響

人材育成戦略の再構築

企業の人事や教育担当者は、社員が最新のデジタル技術に精通していることを確認するために、新しい評価基準やトレーニングプログラムを導入することが求められるでしょう。プロジェクト管理や製品開発における新しい技術的要求に対応するために、社内での継続的な教育とスキルのアップデートが重要です。

ディジタル技術検定の終了は、ステークホルダーにとって既存の枠組みを見直し、より柔軟で現代的なアプローチを取り入れる契機となり得ます。企業はもちろん、教育機関(工業系の高校・高専・大学など)も技術の進歩に対応しますが、その下支えとなる基礎力の醸成には、将来のイノベーターを育成するための新しい方法を模索することが重要です。

 

新たな検定への移行

E検定への移行

今後はE検定のような検定試験がディジタル技術検定の代替として機能するかを評価し、それに適した対策が必要です。

たとえば、

1)社内の研修プログラムを見直す

2)ディジタル技術検定に代わる新たな資格取得の奨励を促す

などの対策です。

 

E検定の有効活用

ディジタル技術検定のユーザーは、E検定を通じて、スキルセットの拡張が可能です。製品の信頼性や熱設計など、E検定により新たな領域を学ぶことで、より実践的な知識・技術が身につきます。

またE検定の取得は新たな学習機会をもたらし、キャリアパスの再構築につながります。とりわけ製造業における専門職(エンジニア)を目指すユーザーにとって、E検定はその目標達成に役立つでしょう。

 

E検定はここが違う!ディジタル検定との比較ガイド

似て非なる2つの検定

ディジタル技術検定とE検定は、どちらもディジタル回路技術を主軸にした技術を認定するという意味では似た性格を持っています。そのため、出題範囲も多くの領域で共通しています。

ただディジタル技術検定は、級数が下がるにつれて難易度が上がる形式でしたが、E検定はレベルが上がるにつれて高度な内容になるという形式を採用しています。たとえば、E検定のレベル1・レベル2のコンテンツは、ディジタル技術検定の4級・3級に相当し、E検定のレベル3がディジタル技術検定の2級制御部⾨に該当します。

またディジタル技術検定の2級情報部⾨は、同制御部⾨と共通する部分もありますが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報処理技術者試験の要素が組み込まれていると言えます。

その他、ディジタル検定はC言語・BASIC言語・機械語・アセンブリ言語・高水準言語など、さまざまな言語を対象としておりますが、E検定はC言語に特化しています。またネットワーク・プロトコル・入出力デバイス・PCアプリケーションに関する記述がありません。

全体的な印象としては、ディジタル技術検定の3級・4級レベルはPCユーザーの知識やプログラム開発の知識を除けば、E検定のほうが幅広く、それでいて深掘りした内容となっています。しかし、2級になると、E検定にないコンテンツがディジタル技術検定で見受けられます。

 

E検定の独自領域を深掘り

前述の「ディジタル技術検定とE検定の違い」でも触れましたが、E検定はディジタル技術検定と比較して、次のような領域にフォーカスしていることも特徴です。

信頼性の領域:製品の信頼性は、製造業において非常に重要です。E検定では、製品が長期間にわたって安定して機能するための設計原則や信頼性を評価するための方法論について深く掘り下げています。

熱設計の領域:電子機器の熱管理は、性能と寿命に直接影響を与えます。E検定では、熱設計の基本から熱問題を解決するための実践的な技術までを詳細に扱っています。

FPGAの設計技術領域:FPGAField-Programmable Gate Array)は、現代の電子回路設計において中心的な役割を果たしています。E検定では、FPGAの設計と実装に関する専門的な知識と技術に重点を置いています。

ディジタル技術検定ユーザーにとって、これらの領域は聞き慣れないかもしれません。しかし、ディジタル技術検定の知識を元にE検定独自の領域を学ぶことで、幅広い分野に精通するエンジニアとして活躍できるでしょう。

補足

202311月時点のE検定では出題と評価を行っておりませんが、機構設計技術者が持っているスキルの可視化を行うことが可能でした。

機構材料の領域:機構設計と材料科学は、制御対象となる製品の耐久性や機能性を決定する上で不可欠です。E検定は、電気・電子設計の技術者として知っておくべき材料の特性やそれらがシステムに与える影響についての知識を評価します。(現在は評価対象外です)

 

まとめ

企業の人材育成戦略は今、ディジタル技術検定からE検定への移行も含めて、新たな選択を迫られています。

もちろん、検定試験に合格したからといって、すぐにイノベーションを起こせるわけではありません。重要なのは、各自のキャリア目標に合わせて最適な検定を選択し、継続的な学習を通じて技術の進歩に適応する基礎知識・スキルをアップデートしていくことです。

そういう意味でディジタル技術検定の終了は、多くの技術者にとって新たな学習と資格取得の道を模索するきっかけとなります。E検定はディジタル技術検定の代替として、またそれを補完する形で技術者のスキルセットを強化する有効な手段の一つと言えます。

 

出稿責任 近森満

技術監修 三浦元


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 (1) 本資料は電気・電子系技術者育成協議会(以下、当団体と言います)が独自に行った調査の結果をまとめたものです。ここに記載された情報は、電気電子系技術者の人材育成に資することを目指し、学習の課程でE検定の理解を深めることを意図しています。

 

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